アマチュアゴルファーに一番近いメーカー、
フォーティーンの活動使命の一つに
ゴルフ競技に挑戦を続けるプレーヤーのサポートがあります。
今回紹介するのは“障がい者ゴルフ競技”に挑戦する
一人の熱意溢れるプレーヤーのエピソード。
どんな境遇にあっても、
楽しみ方はある。
ゴルフを通じて感じたこと、
伝えたいこと。
秋山卓哉さん
ひざの上にできた骨肉腫によって左足を失ったのが12歳の時。でも、その2年後、「父親と一緒にゴルフの練習場に出かけた事が今の“愉しみ”に繋がっているんです」と秋山卓哉さんは語ります。今回はフォーティーンのクラブフィッティングを通じて出会った情熱ゴルファーの、いま伝えたい“想い”を紹介します。
◾️ゴルフだからこそ
秋山:今日もまさにそうですが、こんな気持ちのいいお天気の中で、体力も年齢もレベルも違う人たちが一緒になって楽しめる。同じフィールドで競い合える。障がいを持っている自分が健常者と一緒になって楽しめる。ゴルフって本当に素晴らしいスポーツだなって実感するんです。
===秋山さんは日本代表選手として世界大会でのプレーの経験がありますが、とくに欧州では障がい者ゴルファーにもプロツアー出場への道が開かれているんですよね?
秋山:そうです。欧州ツアーは障がい者ゴルファーのための「G4D(Golf for the Disabled)ツアー」をサポートしていて、同ツアーのランキング上位にDPワールドツアーへの出場権を与える活動をしているんです。実は日本で行われた「ISPS HANDA 欧州・日本どっちが勝つかトーナメント2023」にも、その資格で障がい者プレーヤーが1名出場しています。
===世界のトッププレーヤーと同じフィールドで戦うことは、成績を残すという点では難しい面もあると思いますが、それでも最高峰の舞台への門戸が開かれていることはとても素晴らしいことですね。
秋山:僕自身ももっと腕を磨いてより高いフィールドでゴルフをしてみたい!というモチベーションになりますし、それ以上にそういう表舞台で障がいを持ったプレーヤーが活躍することで、同じような障がいを抱えて暮らしている人たちや突然、障がい者になってしまった人たちに、夢のある姿を見せたいという気持ちが強いですね。こんな選択肢もあるんだよって。
===だから今日も、わざわざハーフパンツに履き替えてプレーしていただいたんですね。
秋山:せっかく紹介してもらえるなら、わかりやすい方がいいですもんね。スラックスを履いてしまうと傍目にあまり気づかれないというか。ちょっと足が痛いのかな?くらいにしか思われないのです(笑)
◾️道具に頼りたい気持ちが強い
===とても自然にプレーされているのであえてお聞きしますが、ゴルフのプレーにおいて難しさを感じるのはどんなシチュエーションでしょうか?
秋山:片足が義足ですから「傾斜」の強い場所に打ってしまうと途端に厳しい状況になってしまいます。健康な人のように股関節やひざの角度を調節して自分を水平に保つことが難しいのです。だから傾斜地をどうクリアするか?ではなくて、いかに傾斜地に打たないかを第一に考えていますね。
===今日もちょっとショートして、ガードバンカーに捕まってしまった場面が何度かありました。
秋山:ウェッジショットはバックスピンが強くかかっているので、ガードバンカーでは「目玉」になりやすいですよね。僕の場合はアゴ付近にボールが刺さってしまったら、まずピン方向にはスタンスが取れない。だから絶対にバンカーは超えておかなければいけないんです。アマチュアですから、なかなか思うようにはいきませんが(笑)
===秋山さんには今、フォーティーンのTB-7フォージドとRM-αを愛用いただいていますが、ゴルフクラブに最も求める性能とはどんなものでしょうか?
秋山:僕の場合は飛距離が安定して出ること。とくにミスに対する寛容性が高いことです。ここまでお話ししたように傾斜やバンカーにボールを打ってしまうと、それだけでペナルティになってしまう可能性が高い。だからこそ、少しくらい当たりが薄くてもしっかりと距離が出て曲がらずに条件のよいフェアウェイや花道にボールが残ってくれる。そんなゴルフクラブが理想なのです。
===愛用いただいているTB-7フォージドは、きちんとその役目を果たせているでしょうか?
秋山:もちろんです(笑) ロフト設定的にそれ以前に使っていた他社モデルに近いということでTB-7をフィッティングしてもらったのですが、データを取っても、実際のラウンドでも以前よりしっかりと飛距離が出てくれています。思った以上に前に飛んでくれるのです。ミスヒット時の比較なら10ヤードくらい違うかもしれません。構えた感じはシャープでコンパクトなのに。これはもう驚きですよね、かなり助けられています。
◾️フィッティングはちゃんとするべき
=== RM-αウェッジの調子はいかがですか?
秋山:今、4本のRM-αウェッジをバッグに入れていますが、とくに54°が気に入っていますね。フォーティーンのフィッティングを受けていなければ、たぶん一生バッグに入れていなかったロフトです。それまでは「ウェッジって52°と58°でしょ!?」くらいの認識しかなかったですから(笑)
=== 54°ウェッジの良さとは?
秋山:やはり思った距離が出てくれるところですね。僕の場合は、ほんの少しの傾斜でも手打ちっぽくしないと打てない感じになってしまうのですが、そういう状況でも距離も出てスピンも効いてくれるんです。
=== ちなみに今、欲しいゴルフクラブはありますか?
秋山:よりレベルの高い競技やプロアマ大会に出場させていただく機会が増えると、自分の飛距離不足を痛感させられます。障がい者ゴルフの競技は6300ヤードくらいまでで行われることが多いのですが、一般のプロも参加する大会になると6500ヤード以上になるのがほとんどなので……。スコアメイクを考えると、より遠い距離からグリーン近くに運べないとキツイなという印象があります。だから、今はパー3やフェアウェイから長い距離を正確に飛ばせるユーティリティに興味がありますね。ドライバーの飛距離を欲しがるのではなく、フェアウェイからの精度を高めたい。今度、ユーティリティのフィッティングをフォーティーンでトライしたいと思います。
ベストスコア「73」。プレーも淀みなく、明るい人柄で一緒にプレーしていると障がい者ゴルファーであることを忘れてしまうほど。でも実際は、我々が何気なくスタンスを取っているほんのわずかな傾斜にも、より敏感にならざるを得ないという障がい者ゴルファーが直面している現実にも、今回のラウンドインタビューで気づくことができました。我々、フォーティーンもさらに寛容性の高い、全てのゴルファーの大きなサポートとなるゴルフクラブ開発を進めていかなければならない、そんな想いを強くした一日でした。
「体力も年齢もレベルも違う人たちが一緒になって楽しめる。同じフィールドで競い合える」(秋山さん)
それがゴルフの素晴らしさなのですから。