TC-920 FORGED impression
最新型ドライバーでは4500g・㎠を超える大慣性モーメントモデルが当たり前になり、スイング理論そのものが変わりつつある。出来るだけ手先のローテーション、つまりフェースの開閉度をスイング中に抑えて、体の回転速度、パワーをインパクトに集約させることが、ヘッド挙動が鈍感な現代型ドライバーでは最も飛ばすために必要とされるのである。
ただ一つ懸念されていたことがアイアンの打ち応えとのマッチングだ。とくに見た目がシャープで操作性に優れるアスリート系アイアンとの重心性能差は顕著。ここに違和感を覚えるプレーヤーは私をはじめ少なくはないだろう。今回、私が試打を担当した新作「TC-920フォージド」は、ドライバーとアイアンに起きた重心性能差を解消したモデルだという。さすが目の付け所がフォーティーンらしい、アスリートには楽しみのアイアンだと言える。
「TC-920フォージド」の形状はアスリートが好むストレートネック。ショートやミドル番手においてラインの出しやすさが鮮明にイメージできる。バックフェースにおける独自のキャビティ構造は、フォーティーンらしい重心設計の巧みさや造形美、機能美が伺える。打ってみると、そのコンセプトは顕著に感じられる。重心距離がほどよく長く設計されているため、スイング中に安定したヘッド挙動によって、フェース面が意識しやすくスクエアインパクトによるライン出しが冴えわたるのである。
アスリートのゴルフスタイルにおいてはショートやミドル番手でフルスイングは皆無。とにかく要求されるライン出しのショット力に「TC-920フォージド」の操作性が見事に順応してくれる。操作性というと一見フェースの開閉の良さやシャープ感というイメージを連想させるが、それは従来までのイメージとして欲しい。あくまで「TC-920フォージド」では安定したヘッド挙動により、ストレート弾道のライン出しを促進させてくれるのだ。
また「TC-920フォージド」で驚くべきはロングアイアンの寛容さである。“やさしい”というと語弊があるかもしれないが、そう言いたくなるほどに打ち応えが爽快なのだ。大慣性モーメントのドライバーと重心性能差を近づけたそのメリットは、ロングアイアンの打ちやすさにも大きく貢献していると感じる。昨今はアスリートであっても、FWやUTをセッティングに採用するのが当たり前な時代だが、「TC-920フォージド」ではロングアイアンの回帰も私は促進させたいと勝手に思っている。と、いうのもロングアイアンはライン出しというアスリートショットのクオリティそのものに直結しているからだ。
FWやUTはボールが上がりやすい魅力があるものの、アスリートのヘッドスピード領域では顕著に曲がりやすい、という側面もある。「TC-920フォージド」におけるロングアイアンの力強さは、風に負けない強弾道を実現させ、さらに弾道の左右へのバラツキもライン出しで解消できるという、ロングショットにおけるマネジメントも発揮できるのである。
ぜひ、「TC-920フォージド」を手にするアスリートにはロングアイアンに回帰して欲しいものだ。