2020/07/14

RM-4 開発ストーリー “THE ALL NEW.”

RM-4 開発ストーリー “THE ALL NEW.”

“ウェッジのフォーティーン”から満を持した新製品が登場だ。
これまでの同社ウェッジの流れを継承しながら、さらに新たな世界観をカタチにし、パフォーマンスを洗練させた「RM-4」である。
開発担当・鈴木浩之氏にこのウェッジに注入した“新しさ”の全てを聞こう。

取材・文=ゴルフメディア編集担当
撮影=小林司

全てを洗練させるために アメリカで実績を積んできた パフォーマンス

フォーティーン開発部 課長  鈴木浩之
フォーティーン開発部 課長  鈴木浩之
@フォーティーン開発部 課長  鈴木浩之

フォーティーン開発部 課長  鈴木浩之  

今から約20年前、「MT-28」で圧倒的なスピン性能を実現し、当時日本ツアーで使用率1位を獲得したことを皮切りに、フォーティーンのウェッジは確固たる信頼を得た。今に至るまでその時代・時代で、新たな機能をカタチにし、他メーカーのウェッジがフォーティーンを追いかけるように技術を模範してきたのも事実、先進的な開発力こそがフォーティーンの実力そのものだと象徴した。そして9月に発売される新作「RM-4」には、これまでに見たことのないバックフェースのトゥヒールにかけて肉厚を変化させた『ステップブレード』が新採用され、さらに1歩先のウェッジの世界観に辿り着いた。そこに行けたのは、日本だけでなく世界でも通用するウェッジにしたい、という開発担当・鈴木氏の譲れない想いがあったからに他ならない。

ソール
ソール
@フォーティーン

日本ありきの構想では 通用しない

『現在のギア市場において、何かと日本メーカーのプロダクトは劣勢に立たされているように思います。パフォーマンスが象徴される情報源の中心がPGAツアーとなっていることで、海外ブランドと日本ブランドのプロダクトの存在自体に格差が現れるようになりました。私たちフォーティーンも10年以上のPGAツアーのサポートを通じて、“日本のフィールド”重視で考えられたパフォーマンスでは通用しにくい、と評価されたことがあるのも事実です。“ウェッジのフォーティーン”という日本で築いた価値観をさらに1歩押し上げるためにも、アメリカもテストフィールドの一つとして加える必要がありました。PGAツアーだけでなく、競技系カレッジゴルファーにも積極的に協力をもらい、多くテストを重ねました。そして世界のゴルフシーンで通じる2つのソールの構想、それとともに新たな形状の『ステップブレード』を発想することができたのです。』

機能説明
機能説明
@フォーティーン

鈴木氏がまず取り組んだのはウェッジのパフォーマンスのキモであるソールに、ボリュームを盛り込むことだ。ボリュームを盛り込むことの恩恵は、様々なソールの曲面をより効果的に表現することができ、芝の状況を選ばずに抜けの良さを機能化できることである。ただウェッジのヘッド重量を適正に設計していく上で、ソールのボリュームをアップするためには余剰重量を獲得する必要があった。バックフェース中央部に帯状に精密機械加工を施し、異例ともいえる最薄化にトライし、そこで生まれた余剰重量を使い、従来の上下方向に肉厚変化を付けた逆テーパーブレード設計に加え、トゥヒール方向にも肉厚の変化をつけた『ステップブレード』設計を実現した。重量獲得の成功とともに、付加機能として番手別におけるヘッド操作性や打球フィーリングを向上させることができたのだ。

Sソール

Sソール
Sソール
@フォーティーン

全体的にボリュームを持たせて、緩やかな稜線でラウンドさせたソール。ソールのセンターよりにラウンドの頂点があるため、ソール面の全てが機能しやすく、あらゆるライでボールが拾いやすい「RM-4」のスタンダードソールだ。

Hソール

Hソール
Hソール
@フォーティーン

ソール面全体をトゥヒール方向にややラウンドを持たせながら、後方を三日月型で大胆にカット。
フェースの開閉に順応し、あらゆるテクニックに最適なバウンス効果をもたらす。

迷わない確実な選択肢と、進化したフィーリングと精度

『ソールは全体的にボリュームのあるソールで安定挙動に寄与する『Sソール』と、トゥヒールにラウンド感を持たせながら後方を大胆に三日月型にカットし、フェースを開閉させたテクニックに対応する『Hソール』の2タイプとしました。昨今は多種多様のソールがラインナップされる時代ですが、「RM-4」はあえて使い勝手をわかりやすく表現することにこだわり、さらに手にとっていただけるゴルファーの皆様に迷わせることなく最適なソールを確実に選んでもらえる、わかりやすさにこだわりました。

またトゥヒール方向にボリュームを変化させたバックフェースの『ステップブレード』によって、ローロフト、ハイロフトとフェース面でトゥヒールに動く打球意識に対応し、打ち応えやフィーリングをより洗練させることができました。常々、スピン性能にも定評があるフォーティーンのウェッジですが、ただハイスピンを追求するのではなく、番手毎で求められるスピン性能を機能化させることも『ステップブレード』、そして逆テーパーブレードのコンビネーションで実現。打つべき距離をより成功させる精度を飛躍的に向上させることができました。』

新ステップブレード重心設計

新ステップブレード重心設計
新ステップブレード重心設計
@フォーティーン

バックフェース面の左右方向に段差をつけた新技術ステップブレード設計。フルショットで活用するローロフト(46〜54度)はトゥよりにボリュームを持たせてヘッド挙動の安定性を、小さな振り幅で様々なテクニックを活用するハイロフト(56〜60度)はヒールよりにボリュームを持たせて操作性を際立たせている。

ミドル級重量シャフトを新たにラインナップ

TS-101w
TS-101w
@フォーティーン

N.S.PRO950GHを代表する90グラム台のアイアンシャフトを採用する多くのゴルファーへの重量マッチングを実現するために、日本シャフトと共同開発で111グラムの「TS-101w」をラインナップ。125グラムの「TS-114w」と合わせて、スペックの最適化にも「RM-4」はこだわっている。

 

昨今、ゴルフクラブは打った感覚とともに、パフォーマンスにリンクする造形美がより機能の一部としてより要求される時代だ。ゴルファーの興味や意欲を掻き立てるアイキャッチになっているからである。ちょうど10年前、ウェッジには角溝規制が施行された中、フォーティーンはいち早くトップブレードに厚みを持たせた“逆テーパーブレード”をカタチにして、ヘッドの上下打点のバラツキにおける安定挙動を際立たせたことで安定スピンを確保。多くのメーカーがこぞってそれを模範したのがフォーティーンの技術力を象徴した。あれから10年、さらにウェッジの完成形としての一段階上がったカタチ、『ステップブレード』を搭載して生まれたのがTHE ALL NEW、「RM-4」である。

ちなみに、今期のPGAツアー2019-2020シーズンで既に2勝を挙げているブレンドン・トッドがすでに「RM-4」のプロトタイプウェッジにスイッチして好調を維持し、FedExCupランキングで8位の好位置(7月14日現在)につけていることが、この新ウェッジの先進性を実証していることを、最後に報告しておきたい。