2023/09/14

第2章
目指したのは
新たなバンス効果、
ソールが反発しすぎず
ヘッドを推進させる力。

解説
黒澤孝康/フォーティーン開発部

「DJ」シリーズはやさしさのウェッジだ。
ショートゲーム巧者のようにソールパフォーマンスを
駆使することを苦手とするプレーヤーのために
オートマチックに働くソールパフォーマンスが追求されているが、
新作「DJ-6」のグランドキャニオンソールは
ソール効果を誰もが感じられる新たな力が搭載されている。

ハイバンスウェッジの
常識を超えていく
ソールを生み出したい

「新作『DJ』は他メーカーが追いつけないような、やさしいウェッジにしてほしい」、企画部から開発部・黒澤孝康への要求はシンプル且つ究極だった。
「新作『DJ』は他メーカーが追いつけないような、やさしいウェッジにしてほしい」、企画部から開発部・黒澤孝康への要求はシンプル且つ究極だった。

 

 ソール中央が大きく凹んだ最新モデル「DJ-6」のグランドキャニオンソール。かつて「C-030」(ダフリの強さで人気を誇ったウェッジ)に搭載されたキャニオンソールを継承したパフォーマンスだが、目的はこの技術を搭載することありきでなかったことを、まずはご認識いただきたい。
 「これまで『DJ』シリーズは、ワイドソール×ローバウンスの組み合わせで、ヘッドの抜けをオートマチックに発揮できる性能を追求してきました。前作『DJ-5』はワイドソールウェッジの完成型とも言えるモデルであり、新作でさらにソール幅を広げても、かえって幅広機能が邪魔になってくる。やさしさを別路線で機能化することが第一の検討材料でした」。

左から、「RM-22」、「DJ-33」、そして「DJ-5」にキャニオンソールを搭載した「DJ-6プロトタイプ」とテストを経て、「DJ-6」のグランドキャニオンソールへと辿り着いた。
左から、「RM-22」、「DJ-33」、そして「DJ-5」にキャニオンソールを搭載した「DJ-6プロトタイプ」とテストを経て、「DJ-6」のグランドキャニオンソールへと辿り着いた。

 

 開発部・黒澤孝康が注目したのはソールのバンス効果だ。ソールのバンス角を強めて地面への抵抗感を強調して、ヘッドを地面に潜らせずにボール方向へと推進させるバンス効果を改めて検証する。
 「過去モデルの様々なソールバリエーションにおいてバンス角を強めた試作品を、まずはテストしました。バンス角の強いウェッジは人によってはソールの弾き感を懸念したり、あるいはソールとリーディングエッジが開くスペースによるトップボールを懸念したりします。この懸念をクリアするために、ダイレクトに地面と衝突するソール中央部を削っていく過程が生じました。フォーティーンの技術・キャニオンソールをうまく活用するという発想はテスト過程で生まれました」。

 
キャニオンソールの利点はソールパフォーマンスのダブルアクションが期待できることだ。フロント部はボールへのコンタクトに寛容性を持たせられること、そしてワンクッション置いてバック部が機能して芝や砂に潜らせない、通常のフラットソールには出せないパフォーマンスだ。また凹み部があることでダイレクトなバンス効果を抑える効果も担う。
 「『DJ-6』は、フロント部とバック部の高低差を強調したのが特徴です。フロントのバンパーソールが適度に地面にヘッドを潜らせていく効果を持ち、凹形状のキャニオン部にて直接的なバンス効果を和らげる。そして次のソールアクションでバック部・バンス角20度のキャニオンバンスが後方から強烈に後押ししてヘッドの推進力を高めます」。

グランドキャニオンソールのメカニズム <br>
フロントとバックに高低差をつけてバウンス効果を高めている。<br>

バンパーソール(フロント部)<br>
リーディングエッジにラウンドを持たせて適度にヘッドを地面に入り込ませていく。<br>
⇩<br>
キャニオン部(凹み部)<br>
凹み部がヘッド入射時の直接的なバンス効果を和らげながらバック部に誘導。<br>
⇩<br>
キャニオンバンス(バック部)<br>
満を持してバックソールがしっかり地面を受け止めて、20度という強烈なバンス効果でヘッドの抜けを促進させる。
グランドキャニオンソールのメカニズム 
フロントとバックに高低差をつけてバウンス効果を高めている。
バンパーソール(フロント部)
リーディングエッジにラウンドを持たせて適度にヘッドを地面に入り込ませていく。

キャニオン部(凹み部)
凹み部がヘッド入射時の直接的なバンス効果を和らげながらバック部に誘導。

キャニオンバンス(バック部)
満を持してバックソールがしっかり地面を受け止めて、20度という強烈なバンス効果でヘッドの抜けを促進させる。

 

 では「RM-α」と「DJ-6」の違いは何か。
 「『RM-α』は、見た目がストイックですが『DJ-5』のエキスが入った滑りのいい(抜けのいい)ソールパフォーマンスが特徴です。フェースを開くなど様々な打ち方の工夫にも対応しながら、それらをミスにさせない“さりげない”やさしさが特徴です。たいして『DJ-6』は“お節介なほど”のソールアクションが特徴です。フェースを開くなどソールを強調せずともグランドキャニオンソールが地面にしっかりコンタクトする感触をプレーヤーが得られることで、“ソールを使う”というウェッジ本来の機能で、しっかりボールを運んでくれます」。

“さりげなさ”の「RM-α」、“お節介”な「DJ-6」。どちらが優れているか、ではなくどちらが自分にとってベストなソールパフォーマンスか、いい働きをしてくれるモデルかで選びたい。
“さりげなさ”の「RM-α」、“お節介”な「DJ-6」。どちらが優れているか、ではなくどちらが自分にとってベストなソールパフォーマンスか、いい働きをしてくれるモデルかで選びたい。

 

 ソールパフォーマンスはゴルファーそれぞれに最適に発揮できるモデルを選ぶことが重要。ソールを駆使できる“さりげなさ”の「RM-α」か、ソールがとにかく働く“お節介”な「DJ-6」か、ゴルファーそれぞれのショートゲームの目的や課題に適したソールパフォーマンスを選ぶことが大切である。

「やさしいウェッジの象徴を本当に超えているのか? 仁義なき戦い!DJ-6 VS DJ-5」